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■ 行政書士はどのような仕事をしているのでしょうか?
行政書士がどのような業務をしているのか、疑問に思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
ここでは行政書士業務ができる根拠となる法律の抜粋を示した上で、法律の文言をご説明いたします。
(但し、説明の都合上、法律の文言に付与した①~④の番号は、法律の文言の順番と合致はしておりません。)
根拠となる行政書士法(1条の2第1項、1条の3 [抜粋] )には、行政書士の業務について次の通り、規定してあります。

● 「①官公署に提出する書類・・・その他③権利義務又は事実証明に関する書類・・・を作成する」
● 「書類を官公署に提出する手続及び提出する書類に係る許認可等・・・に関して行われる・・・②意見陳述のための手続・・・について代理する」
● 「行政書士が作成することができる④契約その他に関する書類を代理人として作成する」
● 「行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずる」
抜粋であっても一読して何ができるか判断しづらいので、さらに細かく見て行きましょう。
①「官公署に提出する書類」
⇒ 例えば「喫茶店を開きたい!」という方は、「食品衛生法」という法律に基づき、保健所に対して「営業許可」の申し出をして、許可をもらう
必要があります。
職業は個人の自由に選ぶことができますが、その他大勢の人の衛生管理という側面から、保健所のお眼鏡に適う必要がある訳です。
この場合、行政書士は営業許可申請に関する書類を作り、提出する・・・という手続を、当事者に代わってすることができます。
「官公署」と一言で言っても、各省庁、都道府県庁、市・区役所、町・村役場、警察署等さまざまな行政機関が含まれます。
ここでは一例として喫茶店の例を出しましたが、運送業・建設業・リサイクル業など、色々な種類の業種で、役所とのやりとりが必要です。
したがって、行政書士がお役に立てる場面がたくさんあります。
②「意見陳述のための手続」
⇒ 上で述べた喫茶店を例に挙げて説明すると、もし食品営業許可申請が『不許可(=営業してはダメ)』となった場合はどうでしょうか。
「なぜ自分は喫茶店を開くことができないんだ!」と、言いたいことが色々とあるでしょう。
喫茶店を開くことができないという不利益な処分をされる側を、法律はきちんとフォローしています。
どのようなフォローをしているかというと、『役所側は当事者に対し、不利益な処分をする「前」に、当事者の言い分を聞く機会を
持つようにしなさい』・・・と定めているのです。
そこで、不利益処分を受ける人は、役所側の判断材料に誤りがあれば、役所側に「そこは間違っている」・・・など、直接意見できます。
行政書士は、そういった「モノ申す機会」の代理もできます。
* 但し、「当事者の意見をすべて聞き入れてもらえる」という制度ではありませんので、言いっ放しで終わる可能性があります。
【 今後の展望 】
もし役所にモノ申した結果、やっぱり不許可・・・となった場合は、不許可という処分の取消などを、裁判所に訴訟を起こして求めることになります。
訴訟の領域になれば、法律上、行政書士では代理できません。弁護士さんに頼む必要があります。
ただし、法律は不利益な処分を受けた当事者に対し、『裁判所に訴訟を提起する前に、不許可処分をした役所側に、もう一度審査が適切だったかを
見直すように請求(審査請求)しなさい』と、基本的に求めています(審査請求前置主義といいます)。その場合は、訴訟提起をする前に、役所側に対して
審査の結果を見直すように求めなければいけません。
現在、審査請求を行政書士が当事者に代理してすることはできないことになっていますが(審査請求も弁護士さんの領域です)、今国会でできるように
法律案が可決されました。
したがって、審査請求についても今年度中に、行政書士ができるようになる見込みです(但し、研修を受けて試験で認められた「特定行政書士」のみ)。
③「権利義務又は事実証明に関する書類」
④「契約その他に関する書類」
⇒ ・ 『「権利義務」に関する』とは、例えば、お金を貸した人は貸した相手に返還請求できる「権利」を持ち、借りた人は返還する
「義務」を負います。これはお金の貸し借りをした「契約の効果」によるものです。契約をすればさまざまな法的な効果(すなわち、
権利と義務)が生じます。法的な効果・・・というからには、契約で生じた権利と義務は、「法律上」請求できたり、「法律上」義務づけ
られる・・・ということです。つまり、相手方が契約内容を守ってくれない場合は、「出るところに出て決着をつけるぞ!」(= 裁判で争うぞ)
と言うこともできます。口約束でも契約は成立しますが、仮に訴訟などになった場合、契約があったことを証明しなければいけません。
その際の証拠として「書面化された契約書」があれば、当事者間での約束があったことをはっきりとさせることができます。
(注:訴訟の領域になれば、行政書士はお手伝いできませんが)。
このように、後のトラブルに備えて契約書を作成しておくことは非常に重要になります。
行政書士は、あらゆる契約書を作ることができるのです。
さて、民法という私的な法律関係を規定した法律の大原則として、「契約自由の原則」というものがあります。
民法で大まかに契約の形を決めている場合もありますが、内容や条件を当事者間で自由に決めていいというのが基本ルールです(★)。
とはいえ、「どのような内容の契約」を「誰と誰の間で」「いつ」「いつまでを期限として」「いくらで」締結したのか、ということを書面で
はっきりとしておかなければ、内容について「言った」「言っていない」の水掛け論になり、後のトラブルの元になりかねません。
(★) 契約を自由に決めてもいいとは言え、当然ながら一般常識的に考えて不適当な契約は無効になります。
・ 『事実証明に関する書類』とは、例えば、不運にも交通事故に遭ったとします。交通事故とは契約などではなく、起こってしまった
「事実」ですよね。この事実について交通事故調査書などの作成も行います。
他にも、会社のお金の収支に関する事実を証明する会計記帳や、会社の会議であったやりとりを記録した「議事録」なども作ることが
できます。


さて、上では「行政書士は色々と幅広くできることがあるんですよ」というスタンスで述べましたが、
実は、業務範囲に含まれそうに思われても、業務としてできないことがあります。
なぜならば、
「行政書士は、・・・その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、
業務を行うことができない。」
・・・と規定してあるからです。
つまり、弁護士法、司法書士法、社会保険労務士法など、他の法律で禁止されている場合は、
行政書士が業務としてできないことになります。
当事務所でも厳格に法律を遵守して参りますので、
法律に触れるおそれがある業務については、お断りいたします。ご了承ください。

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