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● 相続人の範囲・相続順位

 

   相続人には、血族相続人と配偶者の2種類があります。配偶者は常に相続人になり(民法890条前段)、血族相続人は次の順序で相続人になります。

 

   [ 血族相続人 ]  ① 被相続人(亡くなった方)の(民法887条1項)。

               ② 子が相続開始前に死亡した場合などでいない場合 ⇒ 子の子(民法887条1項本文、代襲相続)。

               ③ 被相続人の子や、子が死亡したなどの場合の子の子がいない場合 ⇒ 被相続人の直系尊属(=親、民法889条1項1号本文)。

               ④ ③で述べた被相続人の直系尊属がいない場合 ⇒ 被相続人の兄弟姉妹(民法889条1項2号)。

 

   [  配 偶 者  ]     配偶者は、血族相続人と共に、常に相続人になります。

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● 相続人の欠格事由

 

   相続人となる資格を失わせることが妥当であると考えられる一定の重大な事由に該当する場合、法律上当然に相続人の地位を失わせるという

  制裁的な制度です(民法891条)。

 

   [  欠格事由 ]    ① 被相続人(亡くなった方)や先順位・同順位の相続人を死亡させたり、死亡させようとしたために、刑に処せられた者(1 号)。

               ② 被相続人(亡くなった方)が殺害されたことを知っているのに、告発・告訴をしなかった者(2 号)。

               ③ 詐欺・強迫により、被相続人の遺言、遺言の撤回・取り消し、変更を妨げた者(3 号)。

               ④ 詐欺・強迫により、被相続人に遺言をさせたり、撤回・取り消し、変更をさせた者(4 号)。

               ⑤ 被相続人の遺言書を偽造・変造、破棄、隠匿した者(5 号)。

 

   [  効 果  ]      ・  欠格事由があれば特段の手続きを要せず、当然に相続人の地位がはく奪されます。

                ・    欠格事由に該当する者だけに効果があるのみなので、代襲相続が起こります。

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● 推定相続人の廃除

 

   推定相続人の廃除とは、被相続人(亡くなった方)の意思で、推定相続人(民法上相続人になる予定の人)の相続権をはく奪する制度です

   (民法892条・893条)。

   推定相続人と言っても、廃除の対象になる推定相続人は、遺留分を持つ相続人のみを指します(民法892条)

   遺留分を持つ推定相続人とは、兄弟姉妹を除く、推定相続人です。

   兄弟姉妹が相続人となる場合、兄弟姉妹には遺留分はありません(民法1028条1号・2号参照)

 

   なぜ廃除という制度があるのかと言うと、被相続人(亡くなった方)が推定相続人に相続させたくない場合で、かつ、一般常識で考えてみても

   相続させたくないであろうと納得ができるような事情がある場合は、相続権をはく奪できるようにしなければ、亡くなった方にとって不公平だからです。

 

   [ 廃除の原因 ]   ① 推定相続人が被相続人(亡くなった方)を虐待したり、重大な侮辱を加えた場合(民法892条前段)。

                ② 推定相続人に著しい非行があった場合(民法892条後段)。

                ③ 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示した場合(民法893条)。                  遺言廃除

 

   [  手続き  ]         上記①・② ⇒ 被相続人が家庭裁判所に廃除を請求します。

                上記③    ⇒ 遺言執行者が家庭裁判所に廃除を請求します。 

 

   [  効 果  ]    ・ 相続開始後に廃除された場合は、相続開始時に遡って廃除の効果が生じます。

                ・ 廃除された者の子や孫には影響しないため、代襲相続が起こります。

 

   どうしても「この人には相続させたくない!!」と思う方がいる場合は、廃除することを検討してみて下さい。

   この制度は被相続人の意思を尊重する制度なので、廃除を取り消したい場合も被相続人の意思で取り消しできます

   (但し、家庭裁判所に再度、取り消し請求をしなければなりません。民法894条1項)。

 

生前廃除

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