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◆ 自筆証書遺言とは
全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する遺言です(民法968条)。
作成段階での関与者がいないという点で、遺言者からすれば、最も作成しやすい方式かと思われます。
ただし、全文・日付・氏名を「自書」しなければならない点で遺言者にとって負担が大きい上、偽造・改ざんのおそれが高い点が難点です。
また、自筆証書遺言の保管者や発見者は、遺言作成者の死後、家庭裁判所に「検認」という手続きをしてもらわなければなりません。
もし、自筆証書遺言を発見しながら家庭裁判所に検認のための提出をしなかった場合や、封がしてある自筆証書遺言を家庭裁判所外で
開封した場合、5万円以下の過料に処せられます(民法1004条1項・3項、1005条)。
その他、複数人が同一の証書で遺言書を作成することは禁止されているため(民法975条)、例えば仲良し夫婦だから同じ遺言書に二人で
共同の思いを託したい・・・と考えて遺言書を作成した場合でも、それは無効な遺言になってしまいます。
最も作成しやすいがために、偽造や改ざんのおそれを無くすため、民法は自筆証書遺言の作成に、色々と厳しい要件を課しているのです。
したがって、自筆証書遺言を作成したい方は、よくよく民法を読むか、もしくは専門職に相談するなどしなければ、無効な遺言となるリスクが
あることを念頭に置かなければなりません。


◆ 公正証書遺言とは
遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して書面化した後、遺言者・証人2人以上に読み聞かせ、遺言者・証人が
署名・押印し、公証人が署名・押印して作成する遺言です(民法969条本文、各号)。
公証人と証人2名以上が必要な点で人的な要員が必要である点と、公証人の作成費用がかかる点が難点ですが、
公証人という法律に深く携わって来たベテランの方が作成し、公証人役場でも遺言書を保管してもらえる点で、偽造や改ざんのおそれが
非常に少なく、また遺言者の死後に「検認」などの手続きが不要な点が非常に好ましい点です。
当事務所でも、公正証書遺言の方式をオススメしております。
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◆ 秘密証書遺言とは
遺言者が証書に署名・押印し封をして、公証人と2名以上の証人に封書を提出し、自己の遺言書が存在することは明らかにしつつ、
内容は秘密にして作成する遺言です(民法970条1項、各号)。
公正証書遺言と同様に、公証人と証人2名以上という人員を確保しなければならず、また公証人に依頼する際に費用がかかる上、
自筆証書遺言同様、遺言作成者が死亡した場合、家庭裁判所で「検認」手続を経なければなりません。
方式についても、自筆証書遺言と同様に、共同で遺言を作成することはできないなどの民法上のルールを知っておかなければ、遺言が
無効になるリスクがあります。
確かに、自筆証書遺言に比べれば秘密証書遺言の方が方式が厳格な点で偽造・改ざんは生じにくい上、自筆証書遺言と異なり、
遺言の内容までもを自筆する必要はないため、その点で自筆証書遺言よりは遺言者の負担は少ないとも言えます。
どうしても秘密証書遺言を作成したい方は、内容についても専門職にご相談して頂き、後に遺言が無効にならないような工夫が必要と考えます。
◆ 「検認」とは
遺言の効力が生じた後(=つまり遺言作成者が死亡した後(民法985条1項))、遺言の執行手続き開始の前の段階として、
家庭裁判所が遺言書の形式・態様を調査・確認して、遺言の保存を確実にする保全手続きです。
この「検認」の際には、相続人全員が家庭裁判所に行かなければなりません。
ちなみに、あくまでも遺言制度の公正な運用を目的として行われる形式的な手続きであるため、
遺言の内容が有効か否かという実質的な判断はなされません。
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